Learn to Live and Live to Learn

IT(たまにビジネス)に関する記事を読んで、考えて、使ってみたことをまとめる場。

影響力の武器 2.コミットメントと一貫性

影響力の武器 1. 返報性 - Learn to Live and Live to Learnの続きです。

一度コミットした立場を取り続けようとする一貫性の原理

私たちは言動を一貫したものにしたい心理を持っています。
なぜなら

  1. 一度コミットしたことで、自分はコミットしたような人間なのだと自己イメージができる(内部からの圧力)
  2. 一貫性がない=信頼できない、というイメージがあるので、自分が信頼できない人間と評価されたくない(外部からの圧力)
  3. 類似した課題に直面した時、以前と同じ立ち振る舞いをすることで、効率的に判断できる

からです。

一貫性の原理を逆手にとった交渉術が存在する

フット・イン・ザ・ドア・テクニック

セールスマンが訪問先でまず片足をドアに入れて閉まらないようにし、相手が商談を拒否できないようにする動作に由来する。

コトバンクより

段階的要請法とも呼ばれます。
小さなお願いを受け入れてもらったあとで大きなお願いをする手法です。
相手は最初にお願いを受け入れる立場をとっているので、一貫性を保つため大きなお願いも受け入れられやすくなります。

ローボール・テクニック

ローボールは低い球だから取りやすいことに由来しています(心理学で学ぶ頼み方③ ローボール・テクニック - ズボランドより)。
承諾先取り法とも呼ばれます。
悪い条件を隠し承諾を得たあとで、悪い条件を出す手法です。
承諾した時点で正当化する理由を他にも探すので、最初に隠していた悪い条件を出してきても、承諾を支える柱は他にもできていて承諾を取り消さないのです。

コミットメントを最大化するのは行動・公表・努力・自分の意志

朝鮮戦争時、中国軍はアメリカ軍捕虜に対し反アメリカ・親共産主義な意見を書くよう求めました。
そして、書いた文章を他の捕虜たちの前で読ませたり、ラジオで流したりしました。
そうしたアメリカ軍捕虜は帰国後、中国に対する理解を示していたそうです。
なぜなら、中国軍のとった行動にはコミットメントを最大化する4つの要因が全て含まれていたからです。

  1. 行動する(書く、発表する)
  2. 公表する(発表する、ラジオで流す)
  3. 努力する(書く)
  4. 自分の意志(アメリカ軍捕虜は強制されたわけではない)

回避するには「今、承諾した時に戻れるならどうするか」を考える

一貫性の原理を悪用した術中にハマっていないか調べたい場合は、時を遡ることです。
悪い条件を隠し承諾を求められた時、今と同じ情報を持っていたとしたらYesと言うだろうか、と想像します。
Yesと言わないなら断るべきでしょう。

参考

影響力の武器 | ロバート・B・チャルディーニ