Learn to Live and Live to Learn

IT(たまにビジネス)に関する記事を読んで、考えて、使ってみたことをまとめる場。

影響力の武器 4.好意

影響力の武器 1. 返報性 - Learn to Live and Live to Learn
影響力の武器 2.コミットメントと一貫性 - Learn to Live and Live to Learn 影響力の武器 3.社会的証明 - Learn to Live and Live to Learn
に続き、影響力の武器である好意をまとめます。

好意の要因には身体的魅力・馴染み・連合がある

好意を持っている対象が自分に対し大きな影響力を持っていることは、何となく想像しやすいと思います。
好意の要因は主に

  1. 身体的魅力
  2. 馴染み
  3. 連合

の3つです。 他にも、お世辞は分かっていても嬉しく好意を持てたり、共通目標を持って協力している人には仲間意識ができ好意に繋がったりします。

1. 身体的魅力

ハロー(後光)効果という現象があります。
ある対象を評価するとき、一つの望ましい特徴によって、他の特徴の評価が歪められることです。

その一つの特徴はえてして”外見”です。
大人しい外見の人を見て真面目そうとか、いい人そうと感じるのはまさに身体的魅力の影響を受けています。

2.馴染み

類似性のあるものには好意を持ちやすいです。

3.連合

連合の原理という法則があります。
ある対象への感情がその対象と連合しているものへ伝わることです。

企業が広告に人気タレントを起用するのもこのためです。人気タレントに向けられている好意を自社にも伝染させようとしているのです。

自分の通う大学の野球チームが勝つと「私たち(俺たち)のチームが優勝した」と言うのに対し、負けると「○○(チーム名)が負けたらしい」と他人事のような言い回しになるのは、自分と野球チームが連合することによって野球チームが自分の代理になっていることを本能として知っているからかもしれません。

原因ではなく結果に注意を払う

対策としては、好意の要因(原因)を探ろうとしても気付きにくいので、異常な好意(結果)が生まれていないかに気を配ることです。

例えば、私たち人間は感じの良いセールスマンが勧める商品をいいと思いがちです。しかし、出会ってたった数時間の人に好意を持っている違和感に気づけば(アンテナを張っておく必要はある)、セールスマンの良さと商品の良さは別であると区別して考えれ、その商品を正当に判断できるはずです。

参考文献

影響力の武器 | ロバート・B・チャルディーニ

影響力の武器 3.社会的証明

影響力の武器 1. 返報性 - Learn to Live and Live to Learn
影響力の武器 2.コミットメントと一貫性 - Learn to Live and Live to Learn
に続き、影響力の武器である社会的証明をまとめます。

社会的証明とは、遂行する人の多いことを正しいと思う心理

例えば、バラエティ番組の笑い声を聞いて(嘘だと分かっていてもみんなが笑っているから)面白いと感じたり、売上No.1という売り文句を見て商品を選ぶのは、社会的証明が働いています。

社会的証明の影響を受けやすいのは、状況が不明確で類似性のある人たち相手のとき

私たちは状況が不明確で自分では判断できないとき、周囲の判断に頼りたくなります。

また、自分と似た人の判断に影響されやすいです。
これは小説『若きウェルテルの悩み』(本当にざっくり言うと、主人公ウェルテルが好きな女性に振られたために自殺する物語です)が出版されたとき、ウェルテルを模倣した自殺が相次いだことからも言えます。←ウェルテルと同じように悩まれていた方々が亡くなられたのだと推測します。

社会的証明による集合的無知という現象は、命に関わることもある

1963年、20代後半の女性が仕事帰り暴漢に殺害される事件がありました。
この事件の恐ろしいところは、38人の隣人がこの事件を目撃したにも関わらず、誰一人通報しなかったことです。
彼ら彼女らは、人が死ぬことを何とも思わない冷たい人間だったのでしょうか。
そうではありません。
理由は大きく2つあります。

1つ目は一人一人の責任が薄いことです。
誰かが助けてくれるだろうと思えたことです。

2つ目が集合的無知です。
どのくらい危険なのか、自分は何をすべきなのか、状況が不明確なとき私たち人間は社会的証明を求めます。
そして、他人はどうしているかうかがうのですが、注意すべきは他人も自分と同じ人間だということです。
他の人も状況が分からず、でも周りにうろたえているところを見られたくないので、無反応のまま周囲をうかがいます。
お互いに無反応な相手を見て、何もしなくていいのだと判断し、誰も助けられなかったのです。

対処法、使い道

それでは私たちは社会的証明にどう対応していけばいいのでしょうか。

社会的証明にミスリードされないための対処法としては

  • 社会的証明には私たちが思っている以上の影響力があることを意識する
  • 自分が危機的状況にあるときは、相手を特定し(例、○○さん、そこの青いTシャツの人)自分の状況と何をしてほしいかを伝える

ことです。

使い道としては、売りたいもののターゲット層の人に商品の推薦をしてもらうなどが考えられます。

参考文献・参考URL

影響力の武器 | ロバート・B・チャルディーニ
集合的無知とは?【社会的証明】 | 恋愛心理テクニックで人を見抜く方法

影響力の武器 2.コミットメントと一貫性

影響力の武器 1. 返報性 - Learn to Live and Live to Learnの続きです。

一度コミットした立場を取り続けようとする一貫性の原理

私たちは言動を一貫したものにしたい心理を持っています。
なぜなら

  1. 一度コミットしたことで、自分はコミットしたような人間なのだと自己イメージができる(内部からの圧力)
  2. 一貫性がない=信頼できない、というイメージがあるので、自分が信頼できない人間と評価されたくない(外部からの圧力)
  3. 類似した課題に直面した時、以前と同じ立ち振る舞いをすることで、効率的に判断できる

からです。

一貫性の原理を逆手にとった交渉術が存在する

フット・イン・ザ・ドア・テクニック

セールスマンが訪問先でまず片足をドアに入れて閉まらないようにし、相手が商談を拒否できないようにする動作に由来する。

コトバンクより

段階的要請法とも呼ばれます。
小さなお願いを受け入れてもらったあとで大きなお願いをする手法です。
相手は最初にお願いを受け入れる立場をとっているので、一貫性を保つため大きなお願いも受け入れられやすくなります。

ローボール・テクニック

ローボールは低い球だから取りやすいことに由来しています(心理学で学ぶ頼み方③ ローボール・テクニック - ズボランドより)。
承諾先取り法とも呼ばれます。
悪い条件を隠し承諾を得たあとで、悪い条件を出す手法です。
承諾した時点で正当化する理由を他にも探すので、最初に隠していた悪い条件を出してきても、承諾を支える柱は他にもできていて承諾を取り消さないのです。

コミットメントを最大化するのは行動・公表・努力・自分の意志

朝鮮戦争時、中国軍はアメリカ軍捕虜に対し反アメリカ・親共産主義な意見を書くよう求めました。
そして、書いた文章を他の捕虜たちの前で読ませたり、ラジオで流したりしました。
そうしたアメリカ軍捕虜は帰国後、中国に対する理解を示していたそうです。
なぜなら、中国軍のとった行動にはコミットメントを最大化する4つの要因が全て含まれていたからです。

  1. 行動する(書く、発表する)
  2. 公表する(発表する、ラジオで流す)
  3. 努力する(書く)
  4. 自分の意志(アメリカ軍捕虜は強制されたわけではない)

回避するには「今、承諾した時に戻れるならどうするか」を考える

一貫性の原理を悪用した術中にハマっていないか調べたい場合は、時を遡ることです。
悪い条件を隠し承諾を求められた時、今と同じ情報を持っていたとしたらYesと言うだろうか、と想像します。
Yesと言わないなら断るべきでしょう。

参考

影響力の武器 | ロバート・B・チャルディーニ

影響力の武器 1. 返報性

ロバート・B・チャルディーニ博士の『影響力の武器』を読んでいるのですが、良書だと思うので内容をまとめたいと思います😎

人間は固定的動作パターンをとることが多々ある

固定的動作パターンとは、信号刺激に対してとる決まった行動パターンです。

例えば、依頼するとき「〜ので」とつけた方が承諾した方がいいと思う、値段が高いと価値があると思う、値段の高いものを見た後に安いものを見るとより安く感じる(知覚のコントラスト)などがあります。

なぜ固定的動作パターンをとるかと言うと、情報の溢れる複雑な環境に生きる私たちは、時間や頭を効率的に使う必要があるからです。多くの場合、固定的行動パターンによる選択は正解なのです。

この固定的動作パターンのうち影響力の大きい6つをCLRASSの原理と言います。

CLRASSの原理

クラッサスと読みます。
以下の頭文字を取っています。

Consistency:一貫性
Linking:好意
Reciprocation:返報性
Authority:権威
Social proof:社会的証明
Scarcity:希少性

CLRASSの原理をうまく利用できると、相手にYesと言わせる承諾誘導が行えます。
今回は返報性(Reciprocation)を取り上げます。

返報性の原理とは、施しを受けた場合お返しをしなければならないという心理

人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理をいう。この「返報性の原理」を利用し、小さな貸しで大きな見返りを得る商業上の手法が広く利用されている。
返報性の原理 - Wikipediaより

「Give and Take」という言葉が表す通り、私たちは恩を受けたら返さなきゃいけないと思っています。
そのお陰で、相手から何ももらっていなくても安心して相手に与えることができる、そんな社会が成り立っているのです。
問題があるのは固定的動作パターンを悪用する人間であって、固定的動作パターン自体でないことに注意が必要です。

返報性は実験によって証明されている

デニス・リーガン博士が行ったこんな実験があります。

見知らぬ二人の被験者を集め、二人一組で美術館を鑑賞し絵画を評価してもうらう実験を行いました。
しかしこの実験は実はフェイクで、片方の被験者は実験者の助手なんです。

被験者は2つのグループに分けられます。
A: 実験の休憩時間に助手がジュースを2本買ってきて、1本をもう一人の被験者にご馳走する
B: 実験の休憩時間に助手は自分の分のジュースだけ買ってくる

そして実験が終わった後、助手はもう一人の被験者に「自分は宝くじを売らなくてはいけない。多ければそれにこしたことはないが、いくらか買ってくれないだろうか?」と頼みます。

結果、ジュースをご馳走された方(A)がされなかった方(B)より、購入率が2倍も増えました。

ちなみに宝くじ購入に助手への好感度は関係ありませんでした。
また、この返報性で最初に受け取るものは、受け取る側がほしいものである必要はありません。つまりこの場合、真の被験者がジュースを求めている必要はないのです。

返報性の原理を利用した例として、ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックがある

譲歩的依頼法とも言われます。
相手にお願いを拒否されてから譲歩した依頼(本来の依頼)をすると、本来の依頼の承諾率を上げられるテクニックです。

例えば、「3,000円のコンサートチケットを買ってくれませんか?」と頼み、断られたら「では、1,000円の映画チケットはどうですか?」と聞くと、3,000円の話をしなかった場合より相手の承諾率が上がるというものです。

なぜ承諾率が上がるかというと

  1. 相手が3,000円のチケットから1,000円のチケットに譲歩してくれたので、自分も譲歩で返さなくてはいけないと思う(譲歩=与えられたものという認識)
  2. 3,000円と1,000円との間でコントラストの原理が働き、1,000円がとても安く感じる(コントラストの原理とは、最初に提示したものと次に提示したものの差が、対比によってより大きく見えること)

からです。

仕事で頼み事をするときに使える

例えば

  • 仕事を依頼する時にチョコやジュースをプレゼントしてからお願いする(これは何の意図もなくやっていたw むしろ依頼しよう→お願いを聞いてくれるだろう→お礼をしなきゃという思考回路で私が返報性の原理の受ける側になっていたのだろうか
  • 相手の話を愚痴とか相談とかを聞いてから、自分の相談をする
  • 自分の得意分野で仕事を手伝ってから、他の仕事をお願いする
  • 大きめの開発依頼をして拒否されたら、それを細分化したタスクをお願いする

などで使えると思います。
効果があったらまた記事を書きます。

参考

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか | ロバート・B・チャルディーニ, 社会行動研究会 |本 | 通販 | Amazon

実験版『人を動かす』

デール・カーネギーさんの名著『人を動かす』を読みました.

名前は知っていたのですが,最近ハマっている漫画『ACMA:GAME』で

主人公が読んでいる本の中にこれを見つけて速攻買いました.

 

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

 

 

まとめ

私たちが相手にするのは

  1. 興味,関心を持ってほしい
  2. 重要な人物として扱われたい
  3. 同情してほしい

と願う感情の動物です.そして,嘘やお世辞に気づく敏感な生き物です.

この本は,そんな相手と付き合うには,想像力を働かせ

相手のことを自分事として考える必要があると教えてくれます.

 

実験

アウトプットを出し身につけるために2つのことを試してみました.

1. 相手は何を求めているのか考えながら話す

これは難しかったです.正直,考えると沈黙ができ会話が弾まなくなるんです.私の頭の回転と社交性の問題もありますが.

そして沈黙に耐えられず,つい自分の話をしてしまいました.つまり失敗です.

失敗を踏まえ,次は段階を設け以下の通りやってみようと思います.

  1. 練習だと意識する
  2. 相手に興味を持って質問する.(長所に気づけると興味を持ちやすい)
  3. 質問攻めにしないよう注意する
  4. 相手の顕在・潜在ニーズを探る(話を聴いてほしい.相談に乗ってほしい.愚痴りたい.意見がほしい.情報がほしい.etc)
  5. それに対し自分ができることを考え発言する

 

2. 相手はみんなVIPだと思い,30分以内の対応を心掛ける

「何かちょっとでも相手のためにしたら感謝してほしい」

「自分の発言に反応してほしい」

「自分の努力や結果に気づいてほしい」

大げさですが,多くの人が多かれ少なかれこういう感情を持っているのではないかと思います.少なくとも私は持っています(笑).

これらの思いに反応するのに精一杯になるのは良くないですが,周囲を気にする余裕を持てる人はカッコいいと思います.だから,意図的に周りを見るようにしました.

具体的には,自分に関わるアクションには30分以内に反応しました.

簡単そうで,一杯一杯になっていたり,重要度が低いと判断するとおざなりになっていました.

ただ,1分1秒を争うことってそんなにないはずで

やってみるとコミュニケーションも円滑に進んでいる気がするので続けたいと思います.

 

振り返り

試してみたものの完璧には程遠いです.

しかし,読んですぐは使いこなせないと思い引き続き実行したいと思います.

効果が出てきたらまたブログに書きます.